第19章 勘違い

ーNsideー


智たちが帰って行って、静かな部屋に1人きり。

目を閉じると、さっき見た抱き合う翔ちゃんと雅紀の姿が浮かんできて。

すぐ目を開いたけど、2人の姿は頭から消えてくれない。


翔ちゃんの好きな人は雅紀だった。
雅紀も翔ちゃんが好きだった。


どうして気付けなかったんだろう。

智が言ってた。
翔ちゃんの好きな人はすごく近くにいるって。

本当にすごい近くにいたんだ。

俺、あり得ないって思い込んでたのかな。

だから気付けなかったのかな。


バレンタインの日、雅紀はひどい風邪を引いて学校を休んでた。

だから翔ちゃんはチョコをもらえなかったんだ。

答えが分かったら、色んなことがスルスルと繋がった気がした。


いつからなんだろう？

2人ともいつから好きだったの？

俺ずっと邪魔だった？

俺が先に翔ちゃんが好きって言っちゃったもんね。

だから雅紀は言えなかったんだよね。


翔ちゃんだって、みんなが見てて分かるくらい雅紀のことが好きだったんだ。

俺が見えてなかっただけで。

ごめん。
2人ともごめんなさい。

もう邪魔しないから…


悲しさと寂しさと。
反省と後悔。

そんな気持ちで胸がいっぱいになって。

散々泣いたのに、また涙が溢れてきた。