第19章 勘違い
動揺を隠せない俺たちに、やっと潤が説明をしてくれた。
「ニノはゴミ捨てに行った時にお前らの会話を聞いちまったらしい。2人が告白しあって抱き合ってるのを見たって言ってた。完全に翔と雅紀が両想いだって信じ切ってるよ」
ああ、それで最初の質問だったのか。納得。
………って、納得じゃねーよ!!
なんだそれ!?
俺が好きなのはカズだって!!
「誤解だ!!カズはなんでそんな誤解を…?!」
一体何をどうしたらそんな誤解をされるんだ…
そんな誤解されるくらいなら俺の気持ちがバレた方が良かった!!
………いや、やっぱり良くない!!
バレたら困る!!
でも…でも…
あー、もう!!
混乱してるのか、なんだか思考がひっちゃかめっちゃかになっている。
「ニノの言う告白しあってたっていうのは何なんだ?」
「なんだろ?俺も翔くんもニノのことが好きだとしか言ってないけどな…」
雅紀が首を捻りながら答えるけれど
「それはちゃんと“ニノが”好きって言ったのか?」
「え…?」
潤の疑問に、ちょっと冷静になって記憶を辿ってみる。
あの時はカズの名前は口にしていなかった…と思う。
雅紀も、俺も。
そう伝えたら、潤はもう何度目か分からないため息を吐きながらも、もう呆れを通り越したのか
「本当に恐ろしく間も悪かったし、運も悪かったんだな」
少し同情的な口調になった。
確かに、カズがピンポイントでこの部分だけを聞き、転んだ雅紀を抱き止めた場面を見てしまったんだとしたら。
それで誤解してしまったんだとしたら。
潤の言う通り本当に恐ろしく間が悪かったんだろう。