第19章 勘違い
潤は真面目な顔に戻ると再び俺たちに視線を戻した。
「2人は裏庭で何を話してたんだ?」
今度こそカズの話が始まるかと思ったのに、また違う話題。
潤は一体何を聞きたいんだろう?
こんな話がカズに何か関係あるのか?
でも潤たちの態度を見ていると、聞かれたことに答えない限り話は先に進まなそうだ。
なんで潤が俺たちが裏庭にいたって知っているのかは疑問だけど。
雅紀に背中を押してもらったなんてちょっと照れくさい気もするけど、でも別に潤と智くんに聞かれて困る話でもないから。
雅紀の了承を得て、裏庭でのやり取りを2人に話した。
全部を聞き終えた2人は、呆れたような納得したような、それ以外にも色んな感情が混ざっていそうな複雑な顔になっていた。
「もうさ、見てられなくて。ニノのために俺に何ができるだろうって考えてね」
雅紀はそんな2人の表情に気付いてんだか気付いてないんだか分からないけど、のほほんと話を続ける。
「ライバルが現れたら翔くんが焦るんじゃないかなーって思ってね、一芝居打ってみたんだ」
「芝居…ね…」
潤は雅紀の言葉を口の中で小さく反復すると、ほんの少し顔を顰めた。
切なそうにも見えるその表情が気になったけれど、俺が声を掛けるより潤から次の質問がくる方が早かった。
「じゃあさ、抱き合ってたっていうのは何なの?」
「なんでそんなことまで知ってんの?!」
雅紀が驚いて目を見開いたけど、俺もかなりびっくりした。
雅紀が聞かなかったら、俺も全く同じ質問を返していたと思う。