第19章 勘違い
雅紀の部屋に通されたけど、潤と智くんの放つ何とも言えない空気に耐えられないのか雅紀はソワソワ落ち着かなくて。
「お茶持ってくるね」
「いい、いらないから座って」
立ち上がって部屋を出ようとして潤に止められた。
雅紀はシュンとして座り直す。
俺も雅紀も何となく正座してしまっていたが
「最初に確認しときたいんだけど」
ただでさえ強い目力の潤にギロリと睨まれて、更にシャンと背筋を伸ばした。
絶対カズに関する話だろうと姿勢を正して待っていたのに
「お前ら付き合ってないよな?」
潤の口から出たのはちょっと意味が分からない質問で。
予想外の言葉に頭がついていかない。
「………は?」
「………へ?」
潤は何を言ってるんだ?
付き合う?
誰と誰が?
意味が理解出来なかったのは雅紀も同じようだ。
頭に?マークをいくつも浮かべる俺たちを見て、潤が質問を変えた。
「翔と雅紀が両想いっていう事実はないよな?」
「はぁ?!」
質問内容は分かりやすくなったが、やっぱり意味が分からないことに変わりはなかった。
俺と雅紀が両想い???
潤は真面目な顔をしてるから、ふざけているわけではなさそうだけど。
俺の気持ちなんて嫌ってほど知ってるだろ?
なんでそんなことを聞く必要があるんだ?
「そんなことあるわけないじゃん!」
ただただ疑問に思うだけだが、とりあえずキッパリ否定する。
雅紀もコクコク頷いて同意している。
それを見た潤は
「だよな。うん、分かってたんだけどな…一応確認しておきたかったんだよ」
なんて、よく分からないけど1人納得したみたいだった。