第19章 勘違い
-Sside-
3人と連絡がつかなくて。
スマホ片手に教室内を意味もなくウロウロ歩き回っていた俺に
「ね、とりあえずニノの家に行ってみよう?」
雅紀がそう提案してくれた。
「…そうだな」
確かに、ここでこうしていても何も変わらない。
家にいるか分からないけれど、とにかく連絡の取れない今、それしか出来ることはないだろう。
そんな簡単なことも思いつかないくらい動揺していたみたいだ。
ただカズがいないだけって言えばそれだけなんだけど。
カズが連絡もなしに俺を置いて帰ったという事実にかなり打ちのめされている。
口を開く気力もなく黙り込む俺に合わせてくれているのか、雅紀は何も話しかけてこず、2人で黙々とカズの家を目指す。
でも公園まで来たところで俺の足は止まってしまった。
「翔くん?行かないの?」
急に立ち止まった俺を雅紀が不思議そうに見ている。
「……行くよ……行くけど……」
得体の知れない不安に襲われて、足がなかなか前に進まない。
カズたちに何があったのかは分からない。
でも例えば誰かが急な怪我をしたとか体調不良とかなら、何かしらの連絡はしてくれると思うんだ。
それが全くないというのが怖い。
最近感じていた少しの違和感みたいなものもあって。
もしかしてわざと俺と連絡を取らずにいるんじゃないかって…そんな考えが頭をよぎってしまって。
家に居たとしても会いたくないって言われるんじゃないかと思ったら足が動かない。
もたもたしていたら、ふいに手に握りしめていた携帯が鳴った。