第19章 勘違い
「俺全然知らなくて……俺、ずっと2人の邪魔してたのかな?」
ニノの涙は止まらない。
「俺が先に翔ちゃんのこと好きって言っちゃったから…だから雅紀は言えなかったのかな?」
ああ、ニノは失恋が悲しくて泣いてるんじゃないんだな…
自分が、翔の、雅紀の、恋路を邪魔してたって思ってる。
それがショックなんだ。
いや、実際には2人が想い合ってるなんていう事実はないから、完全にニノの杞憂にすぎないんだけど。
でも今のニノの胸の内を考えたら俺まで苦しくなった。
智と一生懸命それは誤解だって訴えるけど、ニノは信じない。
なんでそんな状況になってたのかは謎でしかないけど、実際に自分の目で見ちゃったんだもんな。
いくら口で言われたって信じられないのは仕方ないのかもしれない。
「絶対何かの間違いだから…」
「とりあえず俺たちが聞いてくるから…そんなに気に病むなよ、な?」
最後にようやくニノがコクリと頷いてくれたのを確認して、ニノの家をお暇することにした。
智は残りたそうだったけど、ニノが1人になりたいと言うから渋々諦めていた。
「早く何とかしてやんねーとな。あいつら本当に何やってんだ?」
ニノの家を出たところで口を開くが、ため息が止まらない。
「ニノのことあんなに泣かせやがって…返答次第じゃ許さねぇ」
いつになく低い智の声。
その目は怒りに燃えていて。
怖っ!!
本気でキレてんな、これは。
携帯を見たらドン引くレベルの量のメッセージと着信の通知。
当然全部翔からで。
とりあえず翔と雅紀に話を聞かないと…
翔に電話を掛けながら、またため息が溢れた。