第19章 勘違い

「それも俺だけ知らなかったんだね」

ニノの声がまた震え始める。

「いや！…え？なんで？」

翔も雅紀もニノのことが好きで。
もちろん俺も智も知ってたけど。

ニノが気付いた？いつ？

「さっき、裏庭で…２人が話してるの聞いちゃった…」

ハンカチで見えないけど、涙声になってるからきっとまた泣いてるんだろう。

やっとニノの様子がおかしかった理由が分かった。

あいつら裏庭にいたのか。

ニノはゴミ捨ての時に2人を見つけてしまったんだろう。


「俺、知らなくて…」


そりゃ驚いただろう。
ニノは本当に何も気付いていなかったんだろうから。

でもそれが…
翔と雅紀から好意を持たれていることが…

こんなに泣くほどショックなことか？

過呼吸になりかけるほど？

どうにも腑に落ちなくて首を捻っていたら


「………まさか翔ちゃんと雅紀が両想いだったなんて」


ニノがまたポツリと呟いて。


「……………？？？」


冗談抜きで本気で意味が理解できなくて。

同じように首を傾げている智と顔を見合わせた。


ニノはなんつった？


“翔と雅紀が両想い”


翔と、雅紀が？？？


………両想い？？？


「はああああっ！！！？」


理解した途端思わず叫んでしまった。

急な大声にニノがびくっと震える。

「なんの冗談だよ！」
「あの２人が？ないないないない！」

智と笑い飛ばそうとするけど、ニノの涙は止まらない。

「だって、見たもん…好きだって告白しあって抱き合ってたもん…」

どう見てもニノが嘘をついてるようには見えなくて。

そもそもニノがこんな嘘をつく必要はないし。

でもあの２人が？

絶対ないだろ！！
なんの間違いだよ！！

ってゆーか、あいつら２人で何してんだよ！