第19章 勘違い
-Mside-
ニノを家まで送って。
誰もいないと言うから、そのまま俺たちも一緒に上がらせてもらった。
コートとブレザーを脱がせて、ベッドに寝かせる。
力なく横たわったニノの目からは、まだ止まらない涙が流れ続けていて。
智が目を閉じさせると、さっき濡らしたハンカチをそのまぶたの上に乗せた。
優しく優しくニノの頭を撫でる。
しばらくニノの嗚咽だけが部屋に響いていたけれど、それも少しずつ小さくなっていって。
もしかしたら泣き疲れて眠ってしまったのかもしれないと思い始めた頃、ニノが口を開いた。
「智も潤くんも、翔ちゃんの好きな人知ってるんだよね?」
小さな声だったけど、静かな部屋の中だからしっかり聞こえた。
なんで今こんな質問をするんだろう?
俺たちが知ってることも、ニノは知ってるはずなのに。
「……うん」
「まぁ……」
イマイチ質問の意図が分からないけど、否定する意味もないから智と頷いた。
ニノはきゅっと唇を噛んでから、また口を開く。
「……雅紀の好きな人も知ってた?」
「え!?」
「なんで!?」
急に雅紀の話になって、驚いてしまって。
「やっぱり知ってたんだ……」
そんな俺たちの反応でニノは確信してしまったらしい。