第19章 勘違い
その後も少し雅紀と話した。
こうやって雅紀と2人きりでじっくり話したことって実はほとんどなくて。
すごく新鮮で、楽しかった。
話の内容はほとんどカズのこと。
当たり前なのかもしれないけど、俺の知ってるカズと雅紀の話すカズは同じようでいて全然違っていて。
俺の知らないカズを知れるのが楽しくて嬉しくて。
気が付いたら結構な時間が経ってしまっていた。
そう言えばカズに何も言わずに来てしまったんだと思い出して急に焦る。
智くんたちがいるから大丈夫だと思うけど、少しでもカズを不安にさせたくない。
「そろそろ戻ろう」
雅紀に声を掛けて、急ぎ足で教室に戻った。
ほとんど走るようにして飛び込んだ教室にカズはいなかった。
智くんも潤もいない。
よく見たら3人の荷物もない。
………え?なんで?
慌てて携帯を確認してみるけど、なんの連絡も来ていない。
カズが俺に何も言わずに帰った?
今までこんなこと一度もなかったから戸惑ってしまう。
カズに電話をしてみても出ない。
潤も智くんも。
LINEも既読にならない。
何かあったのか?
ざわざわと嫌な胸騒ぎがする。
「お待たせ……って、あれ?ニノたちは?」
荷物を取りに行ってた雅紀がやって来てキョロキョロしているが、うまく答えることが出来ない。
心配で落ち着かない胸を押さえながら、繰り返し3人に電話を掛け続けた。