第19章 勘違い
ーSsideー
転び掛けた雅紀を受け止めて。
体勢を整えたところで、雅紀がネタばらしって言うか、なんでこんなことをしたのかを教えてくれた。
「もうさ、見ててもどかしいんだもん」
本当にもどかしそうな顔をした雅紀の話してくれたことをまとめると、要はライバルが出現したと思わせて俺に危機感を持たせたかったらしい。
焦れば何かしらの行動を起こすんじゃないかと。
そのためにこんな一芝居を打ったらしい。
それを聞いてどっと力が抜けた。
「いやもう、マジで…マジで超焦ったから…」
思わずへたり込んだ俺を見て、雅紀がヒャハハと笑う。
「そんなにー?大袈裟すぎじゃない?」
「お前演技うますぎだろ!本気で雅紀もカズのこと好きなんだと思ったわ…」
まさか演技だとは思わなかった。
本気で言ってるようにしか聞こえなかった。
「だって好きなのは本当だもん」
思わず愚痴るが、雅紀はあっけらかんとしてる。
「大事な幼なじみだよ?兄弟みたいなもんだもん。好きに決まってるじゃん」
「それはそうなんだろうけど…」
俺には本当にニノに恋してるみたいに聞こえたんだって!
だからあんなに焦ったし、絶望したんだ。
雅紀はケラケラ笑っていたけど
「ニノが大好きで、大切なんだ…だからニノには幸せになって欲しいんだよ」
ふいに声のトーンが変わった。
すごく真剣な声で。
雅紀が心からそう願っているのが伝わってきた。