第19章 勘違い
「ニノっ、どうしたの?なんで泣くの?」
智が涙を拭って背中を擦ってやるけど、その涙は止まらない。
「会えないって何で…?」
「会い…たく…ない…」
それ以上はもう言葉にならないみたいだった。
泣きじゃくって、もう嗚咽しか聞こえない。
俺にはどうしてやることもできなくて。
ただ黙って見ていたけど
「………っは、………はぁっ」
少ししたらニノの呼吸がおかしいことに気が付いた。
苦しそうに喉を押さえてる。
マズいな…
「ニノ!大丈夫?ニノっ!」
心配しすぎて智の方がパニックになってしまっている。
「智、落ち着け。ニノ、大丈夫だからゆっくり呼吸して」
俺は冷静でいようと気持ちを落ち着けて、優しく聞こえるように意識して2人に声を掛ける。
「ニノ!息して!」
智と2人でニノの背中を擦りながら、呼吸を促す。
「ゆっくり吸って…吐いて…」
一緒に何度か深呼吸して、ニノの呼吸が落ち着くのを待った。
時間を掛けて呼吸は落ち着いてきたものの、それでもニノの涙は止まらない。
ニノは体の力が抜けてしまったのかグッタリしていて、今にも崩れ落ちそうで。
智が何とか支えている状態だ。
「智、とりあえず学校から出よう」
ここだと誰に見られるか分からないし、もういつ翔たちが戻ってきてもおかしくない。
今、翔たちと会ったらニノがどうなってしまうか分からない。
「待たなくていいの?」
「後で連絡しよう。とにかく今はニノを休ませるのが先だ」
「うん」
これ以上ニノを刺激しないように名前を出すのは避けて。
智と2人でニノを抱えるようにして、足早に学校を後にした。