第19章 勘違い
「ヤバいな…1人で行かせたなんて、翔にバレたら殺されるわ」
「どうしよう?追いかける?」
智は今にも走り出しそうだけど。
ゴミ捨て場への行き方なんて何通りもある。
ニノがどのルートを使っているかなんて俺には分からない。
智に聞いてみるが、智も知らないようだ。
翔なら当然知ってるだろうけど、そもそも翔が一緒にいればニノが1人で行くこともなかった。
「行き違うかもしれないから待とう」
ゴミ捨てなんて時間も掛からないだろうし。
下手に動かない方がいい気がして。
ソワソワ落ち着かない智を宥めながら、ニノを待つことにした。
「まだ明るいし、校内に人も多いから大丈夫だって」
「うん」
「すぐ戻ってくるよ」
「うん」
何を言っても智の不安は拭えない。
ゴミ捨て場は裏庭と近いから。
智が心配するのは分かるんだ。
それでも少しでも安心させてやりたくて、智の頭をポンポンと撫でた。
途端に智の頬がポッと赤く染まった。
チラリと俺を見る顔は恥ずかしそうで。
明らかに俺を意識してると分かる反応に嬉しくなる。
うっかり告白なんてしてしまって、どうなることかと思っていたけど。
今まで通りでいようと頑張る智も、今みたいに意識してしまって照れる智も、可愛くて愛しくて。
男から告白されても引くことも気持ち悪がることもなく。
頑張って態度を変えないようにしてくれるってことは、少なくとも嫌われてはいない。
今後どうなって行くかは智次第だけれども。
例え恋人になれなかったとしても、友だちでいられなくなることは絶対ないって思えるから。
頑張ってくれてる智には悪いけど、俺は気楽なもんだった。