第19章 勘違い

ーNsideー


俺が掃除当番の時、翔ちゃんはいつも廊下で待っててくれる。

俺がゴミ捨てになると、一緒に付いてきてくれる。

今日はジャンケンに負けちゃって。

「よっしゃ！」
「ニノ、よろしく！」
「ちぇっ…まぁ、いいけど」

ゴミ捨て係になっちゃったから、おとなしくゴミ箱を抱えて廊下に出てみたんだけど。


翔ちゃんがいない…


何で？何かあった？
ちょっと心配になる。

いやいや、ちょっと落ち着こう。

ちっちゃい子じゃあるまいし。
ちょっと翔ちゃんの姿が見えないからって、そんな不安になるほどのことじゃない。

何か用事かな？
先生に呼ばれたとか？

いつも何かあれば、いなくなる前に一言声掛けてくれるのにな。

なんで今日は黙っていなくなっちゃったんだろ？

今度はちょっとさみしいような、拗ねたような気分になる。

智と潤くんは廊下にいて。
2人なら翔ちゃんがどこに行ったか知ってるかな。

聞いてみようと思ったけど。

でも何か真剣な顔で話し込んでてちょっと声を掛けにくい空気かも。

翔ちゃんがいないのはすごく気になるけど、わざわざ話を遮ってまで聞くことじゃないか…

2人の邪魔したくないから。
そっとしておこう。


ゴミ箱を抱え直して歩き出す。

翔ちゃんにはあんまり１人にならないようにって言われてるけど、ゴミ捨てくらいいいよね？

たかがゴミ捨てに、智たちに付いてきてもらうのも変な話だしね。

さっさと行って戻ってこよう。
その頃には翔ちゃんも戻ってきてるかも。