第19章 勘違い
でも、それでも…
「関係…ある…」
「何が?ニノのこと好きじゃないんでしょ?」
好きじゃないわけない!!
カズが好きだ!
誰よりも好きだ!
そりゃ年数では敵わない。
そればかりはどうしようもない。
でもこの気持ちは!
カズを想う気持ちの大きさは誰にも負けない!
雅紀にだって絶対負けないんだ!!
「俺は好きだよ」
雅紀のまっすぐな視線を今度は真正面から受け止めた。
もう逸らさない。
睨むように見つめ返す。
「俺だって……俺だって好きだ!!」
やっと口にした想いは、内に溜め込んでいた分、外に出した途端に爆発したみたいだった。
叫ぶように雅紀にぶつけたら、雅紀は一瞬驚いたように目を丸くして。
次の瞬間、嬉しそうに笑った。
…は?なんで笑顔?
今、笑うような場面じゃなくね?
でもそれは揶揄ったりバカにしたりしてる笑いではなくて。
雅紀の本当に嬉しそうなその笑顔に戸惑いを隠せない。
どこか張り詰めていた空気もあっという間に消え去った。
「ごめんごめん」
俺の困惑に気付いた雅紀が笑顔のまま謝ってくる。
それは完全にいつもの雅紀だ。
さっきまでの人を小馬鹿にしたような態度はどこにもない。
「いや、実はさ……あっ!」
何かを言い掛けた雅紀は、俺に向かって一歩踏み出そうとして木の根に躓いて。
「危ないっ」
コントのように派手にコケかけたのを、咄嗟に手を出して抱き止めた。