第19章 勘違い
「何も答えないのは、ニノのこと好きじゃないから?付き合いたくないから?」
しばらく黙って見つめ合った後、再び口を開いたのは雅紀だった。
「ちがっ…」
「じゃあ!!」
反論しようとしたが、また強い口調で遮られた。
「じゃあニノは俺がもらうから!!」
続けて雅紀の口から飛び出した言葉は衝撃的すぎて。
意味が理解出来なかった。
「何…言って…」
なんとか開いた口からは掠れた声しか出ない。
カズをもらう?
もらうってなんだ?
「俺、ニノが好きだ」
軽く混乱する俺に雅紀ははっきりと告げた。
俺がなかなか口に出来ずにいる言葉を。
「……雅紀がカズのこと大切に思ってるのは知ってる。幼なじみだもんな」
雅紀の顔を見れば絶対違うって分かったけど、そう言わずにいられなかった。
信じたくなかったから。
でも…
「ちがうよ…恋愛感情で好きなんだ」
あっさり否定されてしまった。
雅紀が…雅紀も…カズが好き…
最初に浮かんだのは、絶対敵わないじゃんって。
諦めにも似た気持ち。
雅紀とカズは幼なじみで、10年の付き合いがあって。
誰がどう見たって雅紀はカズの特別で。
2人には特別な絆があって。
俺じゃ敵わない…太刀打ち出来ない…
雅紀が本気で気持ちを伝えたらカズは断らないんじゃないかって。
雅紀の想いを素直に受け入れるんじゃないかって。
想像してみたら簡単にその光景が浮かんできて。
勝手に想像して、勝手に絶望してる。