第19章 勘違い
-Sside-
今週はカズが掃除当番。
カズが掃除してる間は俺は廊下で待つのがお約束になっている。
カズと仲良くなったばかりの頃は、掃除の間も離れるのが心配でずっとついてまわってたんだけど。
他のやつらに邪魔だって教室から追い出されて、軽く言い合いになったらカズがオロオロしてしまって。
それ以来、おとなしく廊下で待ってる。
カズを困らせたいわけじゃないからね。
もちろん廊下にいたってカズから目は離さない。
今は滝沢と何か楽しそうに喋りながら床を掃いてる。
こうして見てる分には何も変わった感じはしないんだよな…やっぱり気のせいなのかな…
でもなぁ…
カズを見つめたまま、ぐるぐると答えの出ないことを考えてしまう。
「何難しい顔してんだ?」
「翔くん、顔こわいよ?」
今日は潤と智くんも一緒にカズを待っている。
ここ数日カズが智くんにベッタリだからか、智くんもなるべくカズのそばを離れないようにしてるっぽい。
智くんにはもれなく潤も付いてきて。
だから3人でカズを待ってる。
2人に指摘されて、思わず頰を擦った。
そんなことしても変わらないかもだけど。
「なぁ、2人にはカズは今まで通りに見えてる?」
ふと聞いてみたくなった。
カズに違和感を感じてるのは俺だけなのか。
潤と智くんは顔を見合わせてから、困ったように俺を見ると
「翔くんは?翔くんには何か変わったように見えてるの?」
質問に質問で返された。