第19章 勘違い
「潤じゃないよ。それは絶対ちがう」
力強く断言したらニノは安心したのか小さく頷いた。
強張ってた頰が緩んだのが分かって俺もホッとする。
これくらいは教えたっていいよね。
翔くん自身が言ってたことだし。
ニノの頭をよしよしって撫でてあげたら、甘えるみたいにますますしがみついてくるから、俺もぎゅうっと抱き締めた。
ニノが今やるべきことは存在しない翔くんの好きな人に怯えることじゃなくて。
翔くんの想いに気付くこと。
それか翔くんに自分の気持ちを伝えること。
ヘタレな翔くんからの行動は期待できないからね。
でもニノも基本的に受け身だからなぁ。
自分から動くとか…ましてや告白するなんてハードル高すぎるか。
2人してそんなんだから…だからいつまで経っても平行線のまま、今までなんの進展もなかったんだもんな。
それでもニノが幸せなら。
現状に満足していたなら、そのままでも良かったんだけどね。
状況は変わってしまった。
ニノは知らなかったことを知って、知ったからにはもう聞かなかったフリは出来ないだろう。
そしたらもう進むしかない。
お互い少しずつ勇気を出せば、今まで以上の幸せに手が届くんだ。
それはもう目の前にあるんだよ。
だから頑張れ!
1日でも早くニノの幸せな笑顔が見れますようにって、俺は心から願ってる。