第19章 勘違い
ニノは俺の腕の中から、何やら話し込んでる潤と翔くんをボンヤリと見つめていたけど
「…あの2人仲良いよね」
急にポツリと呟いた。
「まぁ、仲良いけどさ。俺たちほどじゃないと思うよ?」
敢えて軽く言ってみたけど、ニノは答えてくれなかった。
「………潤くんじゃないんだよね?」
視線を翔くんから離さないまま、小さな小さな声で確認してくる。
この距離じゃなかったら絶対聞こえないような消えちゃいそうな声。
何が?…なんて聞き返さなくても分かる。
ニノが知りたいのは翔くんの好きな人。
「違うって翔くんが前に言ってたでしょ?」
「うん…そうだよね…」
「潤は親友だって、恋愛対象にはならないって」
「うん…言ってた…」
ちゃんと覚えてるんじゃん。
それなら潤を警戒する必要なんてないだろうに。
ニノの顔を覗き込んだら、その瞳が不安そうにユラユラ揺れていた。
「翔くんの言ったこと疑ってるの?」
「そうじゃないけど…やっぱり潤くんは翔ちゃんの特別だと思うから…もしかしてって思っちゃったんだよ…」
ニノは潤以上に翔くんに特別扱いされてるのに、どうしてそれに気付かないんだろうね?
隣の芝生は青いってやつ?
ちょっと違うか?
ま、自分のことは見えないものなのかも。
俺だってまさか潤が俺のこと好きだなんて考えたこともなかったもんな。
ニノもきっと同じなんだ。
誰がどう見たって両想いな2人だけど。
翔くんが自分のこと好きだなんて、そんなことあるわけないって思い込んでるんだ。