第19章 勘違い
ふいに視線を感じて顔を上げたら、潤と目が合った。
抱き合ってる俺とニノを微笑ましそうに見てる。
その優しい眼差しに、顔が赤くなるのが分かった。
ニノだけじゃない。
俺もあの日からちょっとおかしくなってる。
潤が望んだから。
自分もそうしたいと思ったから。
だから今までと変わらない態度で潤と接するようにしてる。
…してるけどさ。
でもどうしたって変わらないわけなかったんだよ。
時々、思い出しちゃうし。
思い出すと動揺しちゃうし。
“俺はね、ニノのことが大好きで大切に想ってる智を好きになったんだ”
今もあの日の潤の言葉が頭の中で勝手に再生されてて。
心拍数が上がっていく。
顔は熱いし、こんなにドキドキして。
めちゃくちゃ潤のこと意識してる。
潤は…あんまり変わらないかも。
“智はそのままでいいよ”
その言葉通りニノとどれだけベタベタしてても、嫌な顔ひとつしないし。
でも俺を見る目が、愛しいものを見るみたいな目で。
目が合う度に好きだって言われてるみたいで。
嬉しくて、でも恥ずかしくて。
どうしていいか分からなくて。
潤への答えもまだ出せてない。
ことあるごとに挙動不審になってるから、いつものニノなら絶対に何かを察知してとっくに問いただされてると思う。
でも今のニノは気付かない。
心にそんな余裕がないんだろう。
バレなくて良かったって心から思う。
今は俺のことなんかより、自分と翔くんのことだけ考えててほしいから。