第18章 バレンタイン
「困ってはいない…めちゃくちゃ驚いてはいるけど…」
「そっか」
潤は安心したように微笑むと、すごく優しい顔で俺を見た。
その目は愛しさに溢れてて。
心臓がありえないくらいドキドキする。
ドキドキしすぎて頭がボーっとしてきた。
「返事は急がないからさ、少し考えてみてくんない?俺のこと…」
「え…?」
返事って…考えるって…なに?
何をどう考えたらいいんだろう?
頭がうまく働かなくて、思わず聞き返してしまった。
それをどう捉えたのか、潤の瞳が少し翳った。
「もちろん考える余地もなく無理とか気持ち悪いとか思うなら今はっきり言ってくれて構わないけど…」
「そんなこと思わないよっ!」
悲しそうな顔をさせたくなくて。
勢いよく否定したら、潤はホッとしたように息を吐いた。
「…ありがとう。それならさ、少し考えてみて?今はニノたちのことの方が気になるだろうし、あいつらが落ち着いてからでいいから」
俺の気持ち…
俺も潤が好きだよ。
たぶん潤と同じ感情だよ。
潤に好きだって言ってもらえて嬉しい。
単純にすごく嬉しいと感じてる。
でも想いが通じ合うなんて思ってもみなかった。
自分が好きなだけで満足で、その先なんて考えたこともなかった。
だから、両想いだって分かってもどうしていいか分からない。
突然の告白の衝撃でニノたちのことは頭から吹っ飛んでたけど。
確かに潤の言う通り、今は自分のことよりニノのことが心配で。
ニノが変に誤解して傷付いてるのに、自分だけ両想いだって浮かれることなんて出来ない。
俺は、俺より先にニノに幸せになってほしい。
そしたら俺だって安心して自分のこと考えられる。
潤には悪いけど、その言葉に甘えてもいいかな?