第18章 バレンタイン
「潤のこと、ちゃんと考える…考えるけど…ニノたちが何とかなるまで時間もらっていい?」
申し訳ないと思いつつ自分の気持ちを正直に伝えたら、潤はにっこり笑った。
「もちろん。正直言えば俺もあいつらのことが気になって落ち着かないしな」
それが本心なのか、俺のためにそう言ってくれてるのか、俺には分からなくて。
「ごめん…」
つい謝っちゃったら、潤は優しく微笑んだ。
「俺はね、ニノのことが大好きで大切に想ってる智を好きになったんだ。だから、智はそのままでいいよ。俺よりニノを優先するのが智だろ?」
大真面目にそんなこと言うから、呆気にとられてしまう。
だってそれでいいの?
本当に?
俺もさ、翔くんのことが大好きなニノのことが大好きだけどさ。
たぶん俺のニノヘの気持ちは恋じゃないんだよ。
でも潤のは恋愛感情なんじゃないの?
それでも俺にニノを優先しろって言ってくれるの?
なんかそれはすげーでっかい愛な気がして。
それが俺に向けられてるんだって思ったら、なんか恥ずかしくてちょっとむず痒くなった。
「…潤てすげー変なやつだったんだな」
「失礼な!」
照れ隠しもあってそんな言葉が口から出たら、潤は怒ったフリをする。
なんかおかしくて笑っちゃったら、潤も笑った。
それでなんとなく漂ってた緊張感が消えて、いつもの空気に戻った気がした。
「うっかり告っちゃったけどさ、出来れば今まで通りに接してくれると嬉しい」
「それは…潤がそれでいいなら…」
「うん、そうしてほしい」
「わかった」
俺も潤との関係が変わるのは嫌だもん。
潤がいいなら今まで通りでいたいよ。
「ありがとう」
「俺も。ありがとう」
潤は安心したようにお礼を言ってくれたけど、ありがとうって言うのは俺の方だよ。
俺のこと好きだって言ってくれて。
ワガママも聞いてくれて。
本当にありがとう。