第18章 バレンタイン
「このままじゃニノが可哀想だよ…」
「ああ、その内ぶっ倒れそうだしな…なんとかしてやりたいとは思うけど…」
2人して今日何度目か分からないため息を吐いてしまう。
「翔が告白すりゃ、一気に全部解決するんだけどな…」
含みのあるその言い方は、それが出来るならとっくにしてるだろうって言ってるようなもんで。
「ヘタレめ…」
つい憎々しい声が出てしまった。
「ふはっ…否定はしねーけど、容赦ねぇなぁ」
「当然だろ!ニノにあんな顔させやがって…!」
潤はおかしそうにケラケラ笑ってるけど、俺は本当に腹が立ってて。
でも翔くんをとっちめたら、きっとニノが悲しむよね。
これ以上、今のニノに負担を掛けたくないから…
大きく深呼吸して、怒りをぐっと抑える。
翔くんは今も心配そうにニノに寄り添って、あれやこれや世話を焼いている。
その姿からは、見てるだけで分かるくらいニノヘの想いが溢れてて。
それを言葉にしてくれるだけでいいのにな。
まぁ、翔くんもニノの気持ちを知らないから、告白するにはかなりの勇気が必要なんだろう。
それは分かるよ。
でも。それでも。
ニノのために頑張ってくれよって思ってしまう。
理不尽なこと言ってるって分かってるけど。
翔くんならニノを笑顔に出来るんだから。
翔くんしかニノを幸せに出来ないんだから。
頼むから、頑張ってよ。
ニノのために、勇気を出してよ。