第18章 バレンタイン
「翔くんなんてさ、あんなにニノとラブラブで、ニノ以外目に入ってないのに…それでもまだこんなにチョコを渡そうとする人がいるなんて…」
学校が違う女子校の子たちは事情を知らないから仕方ないかなって思うけど。
毎日いやってほど2人の様子を見せつけられているはずの同じ学内のやつでも、まだ告白しようって思えるのがすごい。
人を好きになる気持ちは誰にも止められないし。
絶対叶わないって分かってても、それでも気持ちを伝えたいって思えるのは尊敬する。
それくらい翔くんが魅力的なのも、まぁ分からなくはない。
「去年に比べりゃかなり少ないけどな」
これだけ呼び出されてるのに、これでも少ないんだ…去年はどんなだったんだろ。
でも他人事みたいな言い方してるけど。
それは潤もでしょ?
潤も翔くん同様、今年は全部のチョコを断ってて。
朝、学校の前で待ち構えてた女の子たち全員お断りしてるのを見た時はちょっとびっくりした。
でも潤は本気の相手を探したいって言ってたっけ。
女の子たちとのお付き合いも全部断ち切ったみたいだから、これもその流れからしたら当然なのか。
女の子相手の時はそれなりに丁重にお断りしてた潤だけど、男相手には容赦なくて。
呼び出しには一切応えず、その場でばっさり断ってしまう。
勇気を出したであろう相手はお気の毒だけど、いっそ清々しいくらいの態度に、翔くんもこれくらいのことをしてくれたらいいのにって思う。
たぶん翔くんは一人一人ちゃんと向き合って、その上で誠実に断ってるんだろう。
それが悪いとは言わない。
むしろ人としてすごく立派なんだと思う。
でもさ…
でも…なんだよ…