第18章 バレンタイン
ーOsideー
ニノが翔くんにチョコを渡すのは確定だったから、今朝はさぞかしラブラブだろうと思ってた。
途中で会った潤とも、もう朝のうちに渡してるだろうと意見が一致して。
2人の様子を想像して笑いながら学校へ行ったのに。
ニノは翔くんの隣で泣きそうな顔してた。
思わず自分の目を疑って。
潤を見たら同じように驚いた顔をしていた。
なんで?
朝の誰もいないうちに渡したんじゃないの?
まさかと思うけど受け取ってもらえなかった?
ニノを心配しまくってる翔くんと何かあったとは思えないんだけど…
だって、ニノからのチョコを翔くんが受け取らないなんてあり得ないでしょ?
でも目の前のニノは泣く寸前の顔してる。
これは早く事情を聞かなくちゃ。
潤を見ると、潤もこちらを見ていて。
アイコンタクトをして、1つ頷くと
「翔!ちょっといい?」
潤が翔くんに声を掛けて教室の隅を指差した。
同じタイミングで俺はニノたちに駆け寄って
「俺が付いてるから」
心配顔して動けないでいた翔くんに声を掛けた。
翔くんは少し安心したのか、お願いと俺に頼んで潤の元へ行った。
「ニノ、どうしたの?何かあった?」
ニノの背中に手を当てながら声を掛けたら、翔くんの背中を見送っていたニノがぼんやりと俺を見た。
「翔くんにチョコ渡してないの?」
ニノはノロノロと首を振ると
「翔ちゃん今年はチョコ受け取らないんだって」
悲しそうに呟いた。
「はぁ?」
驚いて声が大きくなってしまった。