第18章 バレンタイン
ニノの肩がびくっと揺れたのを見て、慌てて声を落とす。
「ニノにそう言ったの?」
ニノはもう一度首を振った。
「…女の子たちに、言ってた」
なんだ、びっくりした。
翔くんが女の子からのチョコを受け取らなかったって、ニノにはいいことなんじゃないの?
なんでこんな顔してんの?
「翔ちゃん、好きな人いるからその人から以外は受け取らないって…」
えー!!
あのヘタレでなかなかはっきり断れない翔くんがそんなハッキリ言ったんだ!
すごい!
ニノ本当に大切に想われてるじゃん!
何だか俺が嬉しくなって。
思わず良かったねって言いそうになった。
でも、ニノの目には今にも溢れそうなくらい涙がたまっていて。
その顔を見て気が付いた。
ラブラブ過ぎて忘れがちだけど、ニノは自分の片想いだと思ってるんだ。
翔くんの言う好きな人が自分だって知らない。
だから、こんなに落ち込んでるんだ。
「ニノ…」
悲しまなくていいんだよって。
翔くんの好きな人はニノだよって。
教えてあげたいけど、翔くんが伝えてないのにこのタイミングで俺が言うわけにいかない。
かと言って、翔くんの気持ちを教えずにニノの誤解を解くとか不可能じゃないか?
これは、困ったぞ…