第18章 バレンタイン
「智は男が男にチョコあげるなんて、やっぱり変だと思ってるの?なのに俺には翔ちゃんにあげろって言ってたの?」
ニノが今にも泣き出しそうで焦る。
「ちがう!そんなこと思ってない!」
「だって…!」
「ちがくて!だから…」
ニノと翔くんは本人たちが気付いてないだけで両想いだから、ニノがチョコを渡せば絶対翔くんは喜ぶし。
うまくいけばニノの気持ちが伝わって、2人の関係が前進するんじゃないかって。
そう思うから背中を押しまくってるのであって。
俺とは話が全然違う。
でもそのまま丸ごとニノにぶちまける訳にはいかない。
「えっと…ニノは今まで何度もお弁当作ったりしてるから、バレンタインもその延長で渡せるじゃん!でも俺は一度もそんなことしたことないから、いきなりバレンタインに手作りチョコ渡すなんて不自然でしょ?」
うまく誤魔化せたか?
「そう…かな…?」
ニノはちょっと考えてるみたいだ。
誤魔化したかったのも本当だけど、口にしたことも嘘じゃなくて。
「そうなの!」
俺が潤に手作りチョコあげるとか、そんなの告白するようなもんじゃん!絶対無理!
「ニノが翔くんにあげるのは全然変じゃないよ!むしろ自然!絶対大丈夫だから!絶対喜ばれるから!ね!」
もう勢いで押し切ろうと捲し立てたら、ニノは勢いに飲まれたのかコクコク頷いた。
それを見てホッと力が抜ける。
珍しく一気に喋ったからちょっと疲れちゃったよ。
でもニノはちゃんと翔くんに手作りチョコをあげるつもりみたいだから、それについては一安心かな。