第18章 バレンタイン
ーMsideー
友チョコって単語にニノの表情が少し変わった気がした。
翔を待ちながらみんなで雑談してたら、バレンタインが近いと斗真が騒ぎだして。
そこから、悪ノリしたクラスメイトも加わって去年の俺たちの話になったからちょっとうんざりした。
智とニノの前でそんな話するんじゃねーよと、怒りのような焦りのようなそんな気持ちにもなった。
まぁ当然みんなニノの気持ちを知ってるから、ニノの様子を伺いながら一応言葉は選んでたようだけど。
一歩間違えれば泣かせかねないからな…
それはみんな避けたいだろう。
でも俺の心配をよそに、智もニノも特に大きな反応はしなかった。
智にいたっては穏やかに笑いながら聞いていて。
それはそれで寂しくなる。
我ながらめんどくさいやつだと思うけど、智にはちょっとくらいヤキモチ妬いてほしいと思っちゃうんだよ。
ニノはむすっとしてるから、内心ものすごく我慢してるのかもしれない。
そりゃニノが聞いてて楽しい話じゃないのは確かだもんな。
俺にとっても楽しい話題ではないけれど。
せっかくバレンタインの話題になったからと、その流れでニノに翔へのチョコを用意させられないかと話を振ってみた。
実はちょっと前から考えてたんだ。
単純に翔が喜ぶだろうって言うのもあるけど。
ラブラブなくせに全く進展のない2人にいい加減焦れてきたというか。
バレンタインをきっかけに先に進んでもいいんじゃないかと思ったんだよね。
こんなイベント、この焦れったい2人にはうってつけでしょ。