第18章 バレンタイン
そしたら急に話の矛先がこちらに向いた。
「ニノは翔にチョコあげるの?」
「あげるわけないじゃん!俺、男だよ?」
潤くんにごく普通に聞かれたんだけど。
俺が翔ちゃんにあげるなんて発想なかったから、本当に驚いちゃって。
「俺からもらっても困るだけでしょ!」
「ニノからなら翔くん喜ぶと思うよ?」
「そんなわけないじゃん!」
「あるよ!絶対喜ぶって!」
否定するのに、智も他のみんなも口を揃えてあげればいいのにって言う。
「なんでそんなに俺にチョコあげさせようとするんだよ…」
あんまりしつこく言われるから、ちょっと拗ねた気持ちになる。
「翔くんが喜ぶと思うから」
「気持ち悪いって言われたらどうしてくれんの?」
そんな怖いこと出来るわけないじゃん。
「翔くんがそんなこと言うわけないでしょ」
確かに優しい翔ちゃんはそんなこと口に出したりはしないだろうけど。
もしちょっとでも表情とかに見えちゃったら?
俺の心、折れちゃうよ…
どんなに勧められたって、翔ちゃんにチョコ渡すなんて無理!
そう思ってたのに。
「友チョコとかいうのも流行ってるしさ。あんまり深く考えなくてもいいんじゃないの?」
友チョコ…
潤くんの発した単語にちょっと心が揺れた。
確かに姉ちゃんが毎年大量に作ってる。
でも、それも女の子同士の話なんじゃないの?