第17章 誕生祝い to SHO
きっと潤には俺の考えてたことなんてバレバレで。
その上で俺が気に病まないように、わざとこんな言い方してくれてるんだ。
気を使わせちゃったな…
ちょっと申し訳ない気持ちになる。
でもきっと潤も俺に気を使わせたくないんだと思う。
別に俺は気を使ったつもりはなかったんだけど。
俺は、ニノの幸せを願うのと同じくらい智の幸せも願ってて。
だから智にもニノみたいな幸せな笑顔になってほしかっただけというか。
そのために2人きりの時間を作ってあげたかったというか。
あれ…でもそれが気を使ったってことになるのか…?
うーん…分かんないや…
分かるのは、俺が良かれと思って強引に2人きりにしたとしても、それを2人は素直に喜びはしないだろうってこと。
だったら、余計なことは考えずに楽しもう。
きっとそれが一番みんなも楽しめるんだと思うから。
「よーし、じゃあ行きますか!」
「おう!」
俺たちもまた潤を引っ張りながら再び滑り始める。
「潤、ちゃんと練習してね?真面目にやらなきゃすぐ手離すからね」
「…はい」
智は笑顔だけど、言うことはけっこう厳しくて。
王様みたいだった潤もあっという間に小さくなる。
智のが強い。
意外なような、そうでもないような…
この2人はなんだかんだで潤が尻に敷かれちゃうんだな。
なんか可愛くて、面白くて。
「くふふ」
「何笑ってんだよ?」
「何か面白いことあった?」
1人で笑ってしまったら、気付いた潤と智が不思議そうな顔をした。
「なんでもなーい!楽しいなって思っただけ」
嘘じゃないけど誤魔化し半分で答えたら
「うん、楽しいね」
「ああ」
智と潤が目を合わせて微笑み合った。
それは本当に楽しそうな笑顔で。
2人の間には幸せそうな空気も流れてて。
俺が一緒でも、俺が見たかった顔は見れるんだって…そんなことに気付いて。
また胸があったかくなった。