第17章 誕生祝い to SHO
ニノが潤とその手をじっと見てると思ったら、いたずらっ子みたいな顔でニヤッと笑った。
「ねぇ、翔ちゃん」
翔くんの耳元に口を寄せると
「潤くんも智のことが心配で、だから手が離せないんじゃない?智可愛いもん」
「そうかもね。潤も意外と心配性だからな」
わざとらしいヒソヒソ話をする。
絶対聞こえるように言ってる。
もう、すぐ人を揶揄って遊ぶんだから。
翔くんまでニヤニヤしちゃってるし。
「うっせー!」
「きゃー!潤くんが怒ったー!」
潤が怒れば、ニノはこれまたわざとらしい悲鳴を上げて。
翔くんと目を合わせて楽しそうにクスクス笑う。
「潤が怖いからもう行こうか」
「うん♡」
「じゃあまた後で」
「休憩は一緒にしようね♡」
2人は言いたいことを言ってヒラヒラと手を振ると、返事も待たずにさっさと滑って行ってしまった。
手をしっかり握り合って。
顔を見合わせては微笑み合って。
幸せオーラをばら撒きながら、人の流れに飲み込まれていく2人の背中を見送っていたら、胸の奥がチクっとした。
この小さな小さな痛みはいつ感じなくなるんだろうな。
ニノの幸せそうな笑顔が見れるのは俺だって嬉しいのに…その気持ちは嘘じゃないはずなのに…
小さくため息をついて気持ちを切り替える。
すぐ隣では、疲れた顔してニノたちのことをボヤいてる潤を智がニコニコ宥めていて。
繋がれたままの2人の手を見てニノの言ってたことが頭をよぎる。
もちろん潤が本当に滑れないから繋いでるんだけど。
翔くんみたいに言葉にしないだけで、潤だって智のことを心配する気持ちはあるだろうし。
単純に好きな人と手を繋ぎたいとも思うだろうし。
俺がいなければ、この2人もニノたちみたいにイチャイチャ出来るよね…