第17章 誕生祝い to SHO
色々考えて。
結局左右それぞれの手を、智と雅紀に向けて差し出した。
「2人で引っ張ってよ」
「え?」
「は?」
2人は驚いたように目を見開いたけど、次の瞬間には目を合わせて揃って吹き出した。
「あはは!なんでそんなに偉そうなのさ!」
「王様かよー!」
爆笑してるけど、2人は両側から俺の手を掴んでくれた。
「では王様、行きますよ」
「うむ!よきにはからえ!」
「うひゃひゃひゃ!」
笑いながら滑り出した2人に引っ張られて、足を動かさなくても前に進んでいく。
おお、こりゃ楽だな!
転ばないようにバランスだけ取ってりゃいいんだから。
でも、そんなのはすぐに智にバレて。
「潤!ちゃんと足動かして!滑る練習にならないでしょ!」
怒られた。
「すまん」
「王様なのに怒られてるー!」
雅紀には笑われて。
「ほら、右からね!足はハの字ね!」
「…ハイ」
恐る恐る足を動かすと
「上手上手!」
智は大袈裟に褒めてくれた。
「はい、次は左ー!右ー!」
智の掛け声に合わせてぎこちなく足を動かすけど、やっぱり赤ん坊の歩行訓練みたいじゃね?
雅紀はずっと笑ってるしさ。
くそー!見てろよ!
すぐに滑れるようになってやる!
なんだかムクムクと闘争心が湧いてきた。