第17章 誕生祝い to SHO
智に抱き締められるなんて初めてのことで。
智は俺より小さいし、華奢だし。
普段はちょっと頼りないくらいに見えるのに。
俺を支えてくれる腕は思っていたよりずっと力強くて、なんだかドキッとしてしまう。
智は本当は筋肉もあるし、実はかなり強いんだって知ってたけど。
知ってても本当には分かってなかったんだな。
ぼんやりとそんなことを考えていたら
「潤?大丈夫?」
「…あ、ああ。悪い…!」
智に心配そうに声を掛けられて、まだ智の腕の中だったと思い出す。
でも足元が覚束なくて上手くバランスを取れない俺は、智から離れることも簡単には出来なくて。
このままだと智まで巻き込んで転倒してしまう。
それだけは避けたいんだけど、どうにも出来なくてもどかしい。
思うように動けずにジタバタしていたら、さすがに見兼ねたのか
「くふふ…手を貸そうか?」
それまで黙って見ていた雅紀が俺の腕を掴んで、智から離れるのを手伝ってくれた。
「どうする?このまま俺が引っ張ってもいいけど…」
雅紀のその言葉には、なんだか色々含まれてそうで。
顔見たらニヤニヤしてるし。
これで智の手を取ったら、ますます雅紀がニヤつくのが分かるからなんか悔しいけど。
このまま雅紀の手を取ったら、智はまた寂しそうな悲しそうな顔をするのかな…
それは嫌だな。