第17章 誕生祝い to SHO
翔が恐る恐る差し出された手を掴むと、ニノはにっこり笑った。
「ふふっ♡行くよー♡」
「うわぁっ」
ニノが掛け声と同時に動き出すと、翔は悲鳴を上げた。
そんなのお構いなしに、楽しそうなニノは後ろ向きのまま翔を引っ張りながら器用に滑っていく。
翔はへっぴり腰なままだけど、ニノが支えてるから転ばずに何とか耐えてる。
なんか歩く練習してる赤ん坊と母親みたいだ…
呑気に2人を眺めていたら
「はい、潤も!」
いつの間にか智が目の前にいて、俺に向かって両手を差し出していた。
「…へ?」
「いつまでもここに突っ立ってるだけじゃ楽しくないでしょ?」
間抜けな声しか出ない俺に、智は真顔で正論を突き付ける。
それはそうなんだけど!
その通りなんだけど!
俺にも、あんな歩き始めの赤ん坊みたいになれと言うのか…
つい、ため息が溢れる。
本当に思ってたのと違う…
こんなはずじゃなかったのに…
それはそんな自嘲的なものだったんだけど。
そのため息を智は誤解したみたいだった。
「…俺がいやなら、雅紀に引っ張ってもらって?」
ちょっと寂しそうに、差し出してくれてた手を引っ込めようとする。
違う!誤解だ!
何より智にそんな顔させたくなくて。
「いやっ、待っ…うわっ…」
咄嗟に手を伸ばしたんだけど、ここは氷の上で。
あっという間にバランスを崩してしまった。
「潤っ!?」
智が慌てて手を伸ばしてくれるのが視界の隅に見えて。
気付いた時には智の胸に抱き留められてた。