第17章 誕生祝い to SHO
ーMsideー
翔の誕生日祝いでやってきたのは冬季限定でオープンする屋外スケートリンク。
こんな街のど真ん中で景色を見ながらスケート出来るなんて、なんか不思議だ。
今回、翔にしては珍しくなかなか行き先が決まらなくて。
しまいには勉強会にしようとか言い出したからどうなることかと思ったけど。
最終的には無難なところに決まって良かった。
翔がスケートを提案してきた時、ニヤニヤとだらしない顔をしていたから、まぁ何を考えて決めたのかは何となく想像がついてた。
でも、実際にスケートリンクに立った今。
翔の顔には“思ってたのと違う”って書いてある。
もしくは、“こんなはずじゃなかった…”だな。
そんで、俺も全く同じことを思ってる。
きっとね、翔は颯爽とニノの手を引いて滑る自分の姿を想定してたんだと思うんだ。
俺も相手は智でそう考えてたから。
でもほぼ初めてのスケートはそんなに甘くなかった。
俺も翔も、転ばないように不自然なへっぴり腰で立ってるだけで精一杯で。
少しでも足を動かしたら無様にすっ転びそうだ。
逆に何回か経験があるらしい3人は少し滑ったら、すぐに感覚を思い出したようだ。
安定感のある滑りで、動けないでいる俺たちの所へ戻ってきた。
「翔ちゃん、潤くん、大丈夫?」
「ワンコインレッスンがあるみたいだよ?」
「受けた方がいいんじゃない?」
なんかすげー心配されてる。
ちょっと情けない気持ちになるな。