第17章 誕生祝い to SHO
「翔ちゃんが死ぬなんてやだぁ…」
「死なない!カズを置いて死んだりしないから!」
翔くんはぐずるニノを一生懸命宥めてるけど。
腕の中からウルウルと見上げてくるニノが可愛くて仕方ないんだろうね。
オロオロとデレデレが入り混じったなんとも表現しにくい複雑な表情になってて、ちょっとおもしろい。
「翔ちゃんが死んじゃうなら、もうお弁当なんて作らない!」
「ええっ!」
ニノがそう言った瞬間、翔くんが素っ頓狂な大声を上げた。
突然の大声に驚いたのか、翔くんの腕の中でニノがビクッと震える。
でも翔くんはびっくりしてるニノを気にする余裕もなく、ものすごーく情けない顔になって
「それは…いやだな…」
なんて呟いた。
声まで情けなくなってる。
やっぱりおもしろい。
でもこんな状況でもそれは嫌だって言えちゃうのすごくない?すごく正直だよね。
もし俺が潤にもうお弁当作らないって言われたとしたら、俺はどうするだろう?
そりゃそんなこと言われちゃったら、ちょっと悲しいし残念だなって思うだろうけど。
それを素直に口に出せる気はしない。
そもそも、俺はどんなに潤のお弁当が美味しくてもそれで死にそうになったりしないと思うし。
万が一俺が死にそうとか言ったとしても、潤は泣いてぐずったりしないだろう。
今のニノたちのやり取りを俺と潤バージョンで想像してみたら、あり得なさすぎておかしくて。
1人でクスクス笑ってしまった。