第17章 誕生祝い to SHO
「本当にすごいな〜!カズは器用だね〜!」
翔くんは目を輝かせて嬉しそうにお弁当を眺めるだけで、本当に食べようとしなくて。
せっかく作ったから食べてほしいっていう、ニノの至極真っ当な訴えにもしばらくごねていたけど。
結局しびれを切らしたニノが強引にオムライスを一口すくった。
「ああっ…崩れちゃった…」
翔くんは小さな悲鳴を上げたけど、ニノは完全に無視してニコニコとスプーンを翔くんの口元に運んだ。
「翔ちゃん、あーん♡」
「…あーん」
こんな可愛い笑顔で差し出されたら、さすがにもう拒否なんて出来ないよね。
翔くんも素直に口を開けた。
「うまいっ!」
「ふふっ、嬉しい♡」
口にするなり破顔した翔くんに、ニノは嬉しそうに次の一口を運ぶ。
「全部食べさせてあげるの?」
「だって翔ちゃん食べてくれないし…それに誕生日だもん」
次から次から食べさせてあげてるから一応聞いてみたら、当たり前でしょって顔された。
当たり前…ではないと思う。
…っていうか、誕生日関係なくよく目にする光景だよね。
まぁ2人とも…特に翔くんがかなり幸せそうだから、ほっといてあげよう。
そう思って、自分のご飯を食べ始めたんだけど。
「幸せだ…幸せ過ぎて死んでしまいそう…」
デレデレになってる翔くんがそう呟いた瞬間
「やだ!死ぬなんて言わないで!」
ニノが泣きそうな声で怒った。
見ればまた目に涙を溜めていて。
ええっ!?それ泣くところなの?
喜ぶところなんじゃないの?
俺もびっくりしたけど、言った翔くんはもっと驚いてて。
「ごめん!変なこと言ってごめんね!」
大慌てでニノをぎゅっと抱き締めた。