第17章 誕生祝い to SHO
でも肝心の翔くんは、お弁当をじっと見つめて固まっていて一言も発しない。
まぁ、感動して言葉が出ないんだろうけど。
なんなら泣きそうなのを我慢してるのかもしれないけど。
翔くんの気持ちを知らないニノには、何かしらの反応をしないと伝わらないよ。
その証拠に、ジッと翔くんの様子を伺ってたニノの顔がどんどん曇ってきてる。
「翔ちゃん?」
呼びかける声も不安そうに揺れていて。
「…こんなのやだった?普通のお弁当のが良かった?」
ニノは今にも泣き出しそうな顔で聞くと
「ごめんね…」
返事を待たずに謝って、悲しそうにお弁当を片付けようとした。
「ちょっ…待って!!違うから!!めちゃくちゃ嬉しいから!!」
その手を慌てまくった翔くんが掴んで止める。
「…うれしい?」
ニノの目には涙が溜まっていて。
翔くんの反応が数秒でも遅かったら俺がキレちゃってたかもしれない。
「嬉しいよ!感動して声が出ないくらい!この喜びをどう言葉にしていいか分からないくらい!」
翔くんの必死な訴えをニノは目を丸くして聞いていたけど。
その顔が少しずつ綻んでいくのを見て、とりあえず握りしめていた拳を開いた。
「良かった…喜んでもらえたなら嬉しい」
ニノは目尻に溜まった涙を指先で拭うと
「嬉しいなんてもんじゃないよ!もったいなくて食べられない!このまま持って帰って永久保存したい!」
「もう、翔ちゃんたら///」
真剣に言い募る翔くんにクスクス笑い出した。
ニノが笑ってくれて安心したけど。
翔くんはお世辞でも冗談でもなく、本気で言ってると思うよ。
「翔のやつ真顔過ぎて怖えわ!」
潤の呟きに大きく頷いてしまった。