第17章 誕生祝い to SHO
翔ちゃんが真剣にノートに何か書いてたから気になって。
「翔ちゃん何書いてるの?」
声を掛けてみたけど、集中してた翔ちゃんには聞こえなかったみたい。
そんなに集中して一体なにを書いてるんだろ?
好奇心に負けてちらりと覗いたら、そこに俺のお弁当が食べたいって書いてあるのが見えた。
びっくりして、思わず目をパチパチして。
見間違いかもと思って何度か見返したけど、やっぱりそう書いてあって。
なんでそんなことを真剣に書いてたのかは謎だけど。
見間違いじゃないって分かったら、じわじわ嬉しさがこみ上げてきた。
だって誰かに見せるために書いてるわけではなさそうなものに書いてあるってことはさ。
きっと翔ちゃんの本音ってことでしょ?
翔ちゃん、そんなに俺のお弁当気に入ってくれてたんだ。
それって翔ちゃんの胃袋を掴めたってことかな。
嬉しくて嬉しくて。
智に笑われるくらい顔がゆるゆるになっちゃって、しばらく戻らなかったけど。
この時にプレゼントとしてお弁当を作ることに決めた。
形として残るものじゃないけど、確実に喜んでもらえるって分かってるならそれが一番いいと思ったから。
おかずの1つ1つに愛情をたっぷり込めながら丁寧に作っていく。
全部翔ちゃんが好きなもの。
何度か作ったことあるものばかりだから新鮮さはないかもだけど、誕生日だから冒険はしない。
出来たものを冷まして、誕生日仕様にしながらお弁当箱に詰めていく。
本当に喜んでくれますように…
ドキドキ祈りながら、弁当箱の蓋を閉めた。