第16章 正月
翔ちゃんが俺の頭にそっと手を伸ばす。
「今日は帽子だね」
「髪の毛やる時間ないからって姉ちゃんが…」
帽子ごしに頭をなでなでされたと思ったら、至近距離で翔ちゃんが王子さまスマイルを浮かべた。
「ニット帽も似合うね。可愛いよ」
「………っ///ありがと///」
もう!もうもう!
突然可愛いとか言わないで!
完全に油断してたから、びっくりしちゃったじゃん。
そりゃ、翔ちゃんに褒めてもらえるのは嬉しいけど///
翔ちゃんは今年も天然王子さまだ…
簡単に動揺しないように気を引き締めていかなきゃ!
改めて心の中でそんな決意をしていたら
「ねー、ニノが落ち着いたんなら早く並ぼうよ」
待ちくたびれたらしい雅紀に声を掛けられた。
「あれ?雅紀いたの?」
「最初から居たよ!」
わざとそんな風に言えば、雅紀はプンプン怒る。
そう言えば潤くんの顔もまだ見てないなって思ってキョロキョロしたら
「正月からイチャついてんなよな」
「なっ…イチャついてなんかないだろ!」
「相変わらず無自覚かよ…」
何やら翔ちゃんとヒソヒソ話してる。
「潤くん、あけましておめでとう」
「はいはい、おめでとう」
怒ってる雅紀は無視して潤くんに新年の挨拶をしてみたら、若干適当な気もするけど潤くんもちゃんと返してくれた。
「ちょっとニノ!俺には?」
「智もあけましておめでとう。今年もよろしくね♡」
「うん、よろしくね♡」
雅紀を更に無視して智にギュッと抱きついたら、智も笑顔で抱きしめ返してくれた。
「ちょっと!!ニノっ!!」
「あははは!」
雅紀はますます怒って俺を捕まえようとする。
その手をかいくぐって逃げてたら、なんかおかしくて笑いが止まらなくなって。
「笑いすぎ!!」
「あはは!雅紀も、今年もよろしくね!」
笑いながらやっと伝えたら、雅紀はまだ半分怒った顔してたけど
「はぁ…もう!よろしくね!」
半分は仕方ないなって顔して、最後は笑ってた。