第15章 誕生祝い to MASAKI
「離れないでね」
「うん♡」
翔ちゃんが繋いだ手をしっかり握り直してくれたから、その手はそのままにして。
反対の手で翔ちゃんの腕にぎゅうっとしがみついた。
翔ちゃんが離れないでって言ってくれたから。
正当な理由があるから、堂々と腕も組んじゃうもんね。
翔ちゃんは一瞬驚いたみたいに目を丸くしたけど、何も言わずにすぐに優しい笑顔を向けてくれた。
雅紀と1日中腕組んでたって何とも思わなかったけど、翔ちゃんとだとこんなにドキドキする。
ドキドキするけど、それが嬉しくて楽しくて。
どんどん大好きって気持ちが溢れてくる。
幸せを噛み締めながら歩いてたら
「智!」
潤くんが強めに智を呼ぶ声が聞こえて。
声のした方を向いたら、人混みに飲まれそうになった智の腕を潤くんがぐいっと引っ張ったところだった。
智は人混み苦手だし、基本ぼーっとしてるから。
潤くんが気を付けてないとどっか流されてっちゃうかも…なんて思ってたら
「はぐれないように掴まっとけ」
潤くんがちょっとぶっきらぼうに言いながら、智の腕を自分の腕に絡ませた。
さすが潤くん!男前!
あんなことされて智ってば絶対キュンとしてるだろうな♡
「…うん///」
智は真っ赤になりながら遠慮がちに潤くんの腕に掴まって。
潤くんに見えない位置で小さくほにゃっと微笑んだ。
その笑顔がめちゃくちゃ可愛くて、めちゃくちゃ幸せそうで。
そっぽ向いてる潤くんも嬉しそうに口角が上がっていて。
人混みのせいで智たちと少し距離が出来ちゃってたんだけど、そのおかげで2人のやり取りも表情も全部ばっちり見えちゃった。