第15章 誕生祝い to MASAKI
翔ちゃんからのプレゼントだなんて、もちろん嬉しい。ものすごく嬉しい。
だけど、まさか翔ちゃんがクリスマスプレゼントを用意してくれてるなんて想像もしてなかったから…
「俺…なにも用意してないよ…」
「そんなこと気にしないで。カズは夏休みや体育祭の時に美味しいお弁当作ってくれたでしょ?そのお礼がしたかったんだ」
翔ちゃんはそう言ってくれるけど、なんだか嬉しさよりも申し訳なさの方が大きくて。
「そんなの、俺がやりたくて勝手にやっただけなのに…」
「俺もそうだよ。俺がプレゼントしたくてしただけ」
素直にありがとうって言えない俺に、翔ちゃんはにっこり笑って、開けてみてと促してくれた。
言われるまま開けた包みの中から出てきたのは、フワフワした手触りの良いマフラー。
翔ちゃんは俺の手からマフラーをそっと取り上げると、ふわりと首に巻いてくれた。
「あったかい…ありがと、翔ちゃん」
その優しさとあったかさに気持ちがふわっとほぐれて、やっとお礼を言うことができた。
「良かった。似合うよ、カズ」
嬉しそうな翔ちゃんの笑顔に、首だけじゃなくて心までポカポカあったかくなる。
「待たせてごめん!行こう!」
「おせーよ!」
翔ちゃんが謝ったら潤くんは口では文句を言ったけど顔は笑ってて。
その隣では智もにこにこしてて。
潤くんがさりげなく智の背中に手を添えて、ぴったり寄り添いながら歩き出す。
智は耳まで真っ赤になったけど離れたりはしなくて。
その後ろ姿に、また心があったかくなる。
「カズ、行こう」
2人の後を追うように、翔ちゃんがごく自然に俺の手を引いて歩き出した。
翔ちゃんの手に包まれて、冷え切ってた手もじんわりあったかくなった。