第15章 誕生祝い to MASAKI
「俺…翔ちゃん困らせてる…?」
「そんなことないよ!」
翔ちゃんはすぐ否定してくれたけど、沈黙が長かったから素直に信じられなくて。
「本当は、雅紀が行けないならイルミネーション見に行く必要ないって思ってたんじゃないの?なのに俺が勝手に行くって決めちゃったから…だから…」
「そんなことないってば!」
ついグチグチ言っちゃったら、翔ちゃんに少し大きめの声で遮られて、驚いて口を閉じた。
もしかして、困らせるどころか怒らせちゃったのかも。
「ごめんなさい…」
「違うよ、カズは何も悪くない…大きい声出してごめんね」
なんだか泣きそうなのを我慢して謝ったら、くしゃりと優しく頭を撫でられた。
「雅紀には悪いけど、俺も今日カズとイルミネーション見に行きたいって思ってた。だからカズが俺と同じ気持ちで嬉しかったよ。嬉しいのに困るわけないでしょ?」
優しい声につられるように顔を上げたら、翔ちゃんはいつもと同じ俺の大好きな笑顔を浮かべていて。
安心して今度は違う涙が溢れるかと思った。
「だって俺、ワガママ言っちゃったから…」
「ワガママだなんて思ってないけど…もしカズがワガママを言ってくれてたなら俺は嬉しいよ」
「うれしい?」
言われた意味がよく分からなくて思わず首を傾げたら、翔ちゃんは照れたようにはにかんだ。
「智くんや雅紀にしてるみたいに、俺にもワガママ言ったり…その、甘えてほしいって思ってたんだ」
その言葉にびっくりしてしまって。
「俺ずっと翔ちゃんに甘えっぱなしだよ?翔ちゃんがいやにならないか心配なくらいなのに…」
「全然!むしろもっと甘えてほしいよ!」
つい隠してた不安が口から出ちゃったら、翔ちゃんは力強く否定してくれた。