第15章 誕生祝い to MASAKI
「いいじゃん!イルミネーション!4人で見て来なよ!」
雅紀はそう言ってくれるけど、そういうわけにはいかない。
「いや、雅紀が行けないなら行かないよ」
行くなら5人でって思ってるのは俺だけじゃなくて、雅紀以外全員同じ気持ちだと思う。
でも雅紀は引かなくて。
「俺のことは気にしないで!誕生日は十分祝ってもらったし…俺のせいでみんなが楽しめない方が俺はやだよ」
ちょっと悲しそうな口調から本気でそう思ってるのも伝わってきて。
「でも…」
それでも素直に頷けずにいたら
「雅紀がそう言うなら、俺たちだけで行こ」
突然カズがそう言い切った。
ちょっと素っ気ないくらいの言い方で。
いつもみんなのことを気に掛けてるカズがそんなことを言うなんて思ってなかったから驚いてしまう。
「うん!そうしてよ!」
でも雅紀は明らかにホッとしていた。
このまま行くのをやめたら雅紀は自分のせいだと気に病んでしまうかもしれない。
これもカズの気遣いなんだな。
言い方はあれだけど、照れ隠しなのかな。
雅紀はニコニコしながら俺と潤にすっと顔を寄せると
「今日はニノと智を独り占めしちゃってごめんね」
カズたちには聞こえないくらいの小さな声で謝った。
「でもおかげで楽しい誕生日だった。すごい幸せだった。本当にありがとう!」
その顔を見たら、眩しいくらいまっすぐな笑顔を浮かべていて。
「この後はクリスマスを楽しんできてよ」
そう言いながら、雅紀はムギュっと片目を閉じながら顔半分を歪めた。
…えーと、これはもしかしたらウィンクなのかな?
潤は雅紀のウィンク顔がツボに入ったのか笑いが止まらなくなってたけど。
雅紀の気持ちが嬉しくて、俺の胸はふわっとあたたかくなった。