第15章 誕生祝い to MASAKI
冬の日暮れは早くて。
全部見終わった頃にはもう暗くなっていた。
「あー、楽しかった!!」
そう言って太陽みたいな笑顔を浮かべた雅紀は、本当に楽しかったんだって顔に書いてあって。
まっすぐな言葉には嘘がなくて。
「本当?」
「楽しかった?」
カズと智くんがその顔をじっと見上げると、雅紀は2人の手から腕をそっと引き抜いて
「うん!すっごい楽しかった!」
満面の笑顔で2人まとめてぎゅっと抱き締めた。
「ニノ!智!今日は本当にありがとう」
すぐに離すと、今度はわしゃわしゃと2人の頭を力任せに撫でる。
「もう!頭ボサボサになっちゃうじゃん!」
「ふふっ」
でも文句を言うカズも、笑ってされるままの智くんも、すごく嬉しそうで。
2人とも髪の毛がぐしゃぐしゃのまま、目を合わせて満足そうに微笑んだ。
雅紀は2人から離れると、俺と潤に近付いてきて。
「翔くんも潤も。本当にありがとうね」
「いや、俺は別に何も…」
そのまっすぐな視線に、なんだか後ろめたいような気持ちになる。
だって今日の俺はヤキモチばかり妬いてしまって、カズたちみたいに純粋な気持ちだけで雅紀の誕生日を祝えてなかったから。
お礼を言ってもらう資格なんてない気がしてしまうけど
「雅紀が楽しく過ごせたなら、俺たちも嬉しいよ。な?」
潤が男前な笑顔を雅紀に向けながら俺にも同意を求めるから、それには素直に頷いた。
その気持ちも嘘じゃないんだ。