第15章 誕生祝い to MASAKI
雅紀が嬉しそうなのは、俺も嬉しい。
誕生日なんだから、余計なことは考えずに目一杯楽しんでほしいと思ってる。
たぶんだけど、カズと智くんが雅紀にくっついてるのもそのためで。
その気持ちはきっと俺より何倍も強いんじゃないかと思うから。
カズが雅紀と腕を組んでいる姿を見るだけで、俺の胸はずっとざわついているけれど、俺は何も言えない。
俺の身勝手な感情なんて、カズにも雅紀にも関係ない。
そもそも俺にはカズの行動に口を出す権利なんてないんだ。
「あ!ニノ、ペンギンいたよ!」
「わーい♡」
「だから走るなって…!」
わいわい騒ぎながらペンギンに突進して行った3人の後ろ姿を眺めながら。
もし雅紀に引っ付いてるのがカズだけだったら、もっと動揺していたかもしれないな…なんてぼんやりと考える。
智くんもカズと全く同じことをしているから、受けるショックは最小限で済んだ気がする。
それでも見ていて気分の良いものではないけど。
こっそり今日何度目か分からないため息を吐く。
みんなにバレないようにしたつもりだったけど、すぐ隣にいた潤には聞こえてしまったらしい。
チラリと横目で俺を見ると、しょうがねぇなって顔して呆れたように笑った。
智くんを好きなはずの潤だって俺と同じ気持ちなんじゃないかと思うのに。
潤は何でもない顔をして…いや、それどころか微笑ましそうに優しい瞳で智くんを見守っていて。
なんだか余計に自分が情けなくなった。