第15章 誕生祝い to MASAKI
「あー…疲れた…」
少し休憩しようかと座るなり、ニノがぐでーっとベンチに沈み込んだ。
動物園は意外と広くて。
ゆっくり回ってるのもあって、まだ全部見終わってないけど俺も少し疲れてきてて。
あんまり体力がない上に、ビクビクしながら歩いてるニノは、もっと疲れてるだろう。
「足いたいー」
「ニノ、もっと体力つけなよ」
ぐでんぐでんになってるニノを笑う雅紀は、全く疲れを感じてなさそうだ。
さすが、バスケ部で鍛えてるだけある。
「うるさいなー、雅紀と違って繊細なんですぅ」
ニノは本当に疲れてるのか、言い返す言葉もいつもより元気がない。
そこにペットボトルを抱えた潤と翔くんが戻ってきた。
「お待たせ!」
2人で飲み物を買いに行ってくれてたんだ。
雅紀も行こうとしたけど、誕生日だからって押し切られてた。
「おかえり、ありがとね」
「どういたしまして。はい」
潤たちが買ってきてくれたのはココア。
「あったかい」
一口飲めば、その優しい甘さにホッとした。
「カズ、疲れちゃった?」
心配そうな翔くんの声に、ニノはシャキッと座り直すと
「ううん、大丈夫だよ」
なんてにっこり笑顔を作る。
「甘いの飲んだらちょっとは元気出る?」
「うん、出る!ありがと♡」
今の今までグダグダしながら疲れたを連呼してたのにね。
まぁ、それは俺や雅紀には安心して何でもさらけ出してるってことで。
で、翔くんには心配掛けたくなくて。
情けないところやみっともないところも見せたくないんだろう。
翔くんは見たいんじゃないかと思うけどね。
絶対引いたりしないだろうし、むしろ喜ぶんじゃないかな。