第15章 誕生祝い to MASAKI
「可愛かったねー♡本当に笹食べてたー!」
パンダを見終わったニノはご機嫌で
「満足したから、もう帰る?」
ニコニコしながら小首を傾げて、可愛らしく雅紀を見上げる。
「帰んねーよ!来たばっかだわ!」
可愛い笑顔に騙されなかった雅紀が怒るとケラケラ笑った。
ニノは揶揄って遊んでるだけなんだろうけど。
これが翔くんだったら「うん、帰ろうか♡」とか言っちゃってそうな可愛さだったのに雅紀よく耐えたな…なんて、ちょっと感心したりして。
「パンダ以外も見るよって言っただろ!もう!全部回るよ!」
呆れたような口調でニノを嗜めてから、今度は雅紀が俺たちを引っ張るみたいにして歩き出す。
「はーい」
「何から見るの?」
「そこにいる動物!」
「なにそれ」
クスクス笑うニノと一緒に素直に雅紀に従った。
翔くんに動物の豆知識やこの動物園の歴史なんかを教えてもらいながら、ゆっくり園内を見てまわる。
いつも思うけど、翔くんは本当に博識で。
もしかしたら今日のために勉強してくれたのかもしれない。
「見て見て!ライオン!」
楽しくて仕方ないって感じの雅紀と対照的に、ニノはやっぱり大きな動物が怖いみたいでビクビクしてて。
「大丈夫?こわい?」
「…こわくない」
ちょっと心配になって見てみたら、口では強がってるけど、雅紀の腕につかまる手にぎゅうっと力が入ってる。
翔くんはそんなニノのことをなんとも切ない顔で見てたけど。
怯える姿を見かねたのか、ふいにふわりとニノの頭に手を伸ばした。
「カズ、大丈夫だよ」
その頭を優しく撫でてあげると
「翔ちゃん…ありがと///」
ニノは嬉しそうに翔くんを見つめた。
まだ雅紀にくっついたままだけど、ニノに笑顔を向けられて翔くんも嬉しそうに笑った。