第15章 誕生祝い to MASAKI
そんで今朝。
ニノと待ち合わせ時間の前から雅紀を待ち構えて。
雅紀が現れるなり問答無用でその腕を捕まえた。
ニノと片腕ずつ、しっかり腕を絡めてしがみつく。
「え?なに?なに?」
突然のことに意味が分かってない雅紀はワタワタと狼狽えて、それを見たニノはイタズラが成功した子どもみたいな顔をした。
「「雅紀、誕生日おめでとう!!」」
お祝いの言葉はニノと綺麗にハモって。
示し合わせたわけじゃないのに揃ったから、ニノと顔を合わせてクスクス笑ってしまう。
「あ、ありがとう」
雅紀はまだ状況を飲み込めてなさそうだったけど、それでも反射的にお礼を言う顔は嬉しそうに綻んでいた。
「さ、行くよ!」
「え?いや、だから…」
「早く早く!」
「ちょっ…」
ニノと一緒に雅紀をぐいぐい引っ張りながら歩き出す。
「ねぇ!これ、なんなの?」
つんのめりそうになりながらも、雅紀はまだ質問してくる。
「誕生日だからね」
「誕生日だから…?」
ニノの答えに、雅紀が分かんないって顔をしながら聞き返すと
「おもてなし的な?」
「おもてなし?」
「誕生日プレゼント的な?」
「プレゼント?」
楽しそうなニノが疑問形で返すもんだから、雅紀の首はますます傾いていく。
ニノはクスクス笑いながら雅紀にビシッと指を突きつけると
「あんま深く考えないで楽しめってこと!!」
そう言い切って、いきなり走り出した。
当然雅紀も俺も一緒に走ることになるんだけど、3人でくっついてるからめちゃくちゃ走りにくくて。
団子状になってドタドタ走ってんのがなんかすごくおかしくて。
3人で走りながら爆笑して。
雅紀が何をどう考えたのかは分からないけど、笑ってる間に現状をそのまま受け入れたっぽかった。
心の底から楽しそうに笑う雅紀の笑顔がすごく嬉しい。
ニノの作戦成功だね。