第15章 誕生祝い to MASAKI
「雅紀の誕生日は2人でずっと雅紀にくっついてようよ」
ニノがそんなことを言い出したのは、動物園に行くって決まったすぐ後のことだった。
突然なのは、まぁいつものことだし。
ニノのことだから、何の理由もなく言ってるってこともないと思う。
でも、とりあえず「なんで?」って聞いてみたら「誕生日だから」って。
さっき潤にも言ってたけど、その時も全く同じ答えが返ってきた。
潤はニノの言いたいことが理解できたのか、それ以上聞き返してなかったけど。
俺には全然意味が分からなくて。
「ごめん、ニノ」
正直に分からないって伝えて説明してもらおうと思って、先に謝ったらニノが悲しそうな顔になってしまった。
その顔を見て誤解させちゃったことに気付く。
「ちがう!ちがうよ?いやだって言ってるんじゃないよ?」
慌てて否定して
「なんでそうしたいのか俺には分かんないから教えてほしいだけだよ」
単純に理由が知りたいだけなんだって、一生懸命説明して誤解を解いてから。
何故かはっきりとした理由を口にしたがらないニノから何とか聞き出せた内容をまとめると。
せっかくの誕生日なのにクリスマスだからって雅紀が気を使って申し訳なさそうにしてたのが、ニノはすごく嫌だったみたいで。
半ば強引に誕生日祝いのお出掛けを決めたけど、雅紀はニノや俺の気持ちを知ってるから、当日もまた変に気を回してちゃんと楽しめないんじゃないかって心配もしてるみたいで。
ニノは知らないけど、雅紀は翔くんの気持ちも知ってるし。
優しい雅紀のことだから、ニノの心配は当たってしまう気がした。