第15章 誕生祝い to MASAKI
ーOsideー
「うわぁ♡可愛い♡」
雅紀の向こう側からニノの小さいけど弾んだ声が聞こえてくる。
翔くんと潤のリサーチにより開園前から並んだおかげで、そんなに待たずにパンダを見ることが出来て。
入園前に翔くんから、写真撮るときにフラッシュはダメなことと、大きな声や音を出したらパンダがびっくりして逃げちゃうってことを教えてもらったから。
ニノは素直に言うことを聞いて声を抑えてる。
きっと事前に言われてなかったら、ペンギンの時みたいにキャーキャー言って飛び跳ねちゃってたんじゃないかな。
ニノがどんな顔をしてるのか見たくなって、ちょっと体を乗り出してその表情を覗いてみたら、目をキラッキラ輝かせてパンダに釘付けになっていた。
ふふ、可愛いなぁ。
翔くんはいつも通りデレデレな顔して、パンダそっちのけでニノしか見てないし。
雅紀はパンダを見てるフリをしながら、横目でチラチラとニノを見ていて。
なんだかおかしくて笑いを噛み殺していたら
「ね、智!パンダ可愛いね♡」
ニノも身を乗り出して俺を見るから目がバッチリ合った。
「うん、可愛いね♡」
パンダも、ニノもね。
…なんて、心の中で付け足して。
にっこり笑ったら、ニノも嬉しそうに笑った。
その可愛い笑顔を翔くんや雅紀にも向けてあげればいいのに。
俺だけに向けられてるっていうのはちょっと優越感も感じちゃうけど。
待ち合わせ場所で顔を合わせた瞬間の翔くんの反応を思い出すと可哀想になってしまう。